こむら返り。ツボを使って自分で応急処置と予防をしてみよう!

こむら返り中の女性 体を守ろう。

記事の最後の方でツボの説明を致します。

時間が無い方は前文を飛ばして「5.こむら返りの応急処置」からお読み下さい。

予防対策で指圧の他に、市販の磁気治療用シール(市販名:ピップエレキバンなど)や台座灸(市販名:せんねん灸など)を使用します。予めご準備されておくと直ぐに始められますよ♪

こむら返りの時期がやって来た!でも今年は通年と比べ・・・

先月頃から、「こむら返りが頻繁に起こるから何とかならないか。」と来院される患者様が立て続けにいらっしゃいました。

毎年、一定数の「こむら返り症状」で来院される方はいます。しかし、今期は今までになく程度が酷いこと、そして数が多いことに違和感を覚えます。

今年は、夏の猛暑が更に酷かったことや、立秋が過ぎても9月末まで残暑が厳しかったことが影響したのでしょうか。患者様から詳しく生活習慣を聞いてみたり、服装の感じから、〔今の環境のせいで身体が自然を感じにくくなって自己調整が上手くいかなくなっている人が多い〕こと、そして、〔身体の異変にも気が付きにくく悪化させている〕ことがわかりました。

こむら返りの原因は

そもそも「こむら返り(足が攣る(つる))」の正体は、ふくらはぎの筋肉が強く痙攣(けいれん)し痛みを伴ったまま固定されて動かせなくなってしまった状態です。

筋肉には伸びたり縮んだりする為のセンサーが存在しているのですが、このセンサーが下記の原因などで誤作動を起こし連続して強く縮んだ状態が続いてしまうのです。

筋肉が痙攣してしまう原因は、

  • 筋疲労
  • 栄養、水分不足
  • 電解質バランスの崩れ
  • 冷えなどがあります。

誘因は

  • 長時間の立ち仕事や過度な運動等での筋疲労
  • ・加齢や生活習慣、運動不足による筋肉量減少や血行不良が考えられます。

誘因の上乗せとして時期的なものがあり、夏は体を冷やし過ぎたり脱水症状を起こしたり、季節の変わり目は温度変化でやられたり、真冬の寒さで血行不良になるなどして、症状が現れる確率が更に増えます。

注意点

但し、季節や行動に関係なく常に繰り返し「こむら返りの症状」が起こる時は、病気が原因の場合があります。糖尿病、腎機能・肝機能障害、下肢静脈瘤、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、動脈硬化、甲状腺異常などの病気が潜んでいる可能性や、悪化の可能性もあるので、早めに医師にご相談ください。

「足のつり」には芍薬甘草湯?

先日、とある場所で70歳前後の女性が立ち上がって歩き出した瞬間に「こむら返り」を起こしました。私が駆け寄る前に、近くにいた同年代の女性が鞄から素早く【芍薬甘草湯】を出し「これ効くから飲んで!」と、こむら返りを起こした女性に渡したのです。初対面の人に手持ち常備薬を渡したことにチョット驚きましたが、【芍薬甘草湯】の効果や認知度は一般的に浸透しているのかと変な感心をしてしまいました(笑)。
服用は待ってもらい(笑)、急いで女性の応急処置をして事なきを得ました。

メモ

【芍薬甘草湯】は水なしでも服用でき、数分ほどで痛みを和らげることが出来る便利で優れものな漢方薬で、医師の処方の他に市販でも良く販売されている薬です。
【芍薬】【甘草】には筋を緩めたり、痛みを和らげる作用があります。ですが、当然副作用もあれば、服用してはいけない人もいます。人それぞれですから、メジャーなものでも「薬」は安易に扱わず薬剤師や医師に相談してから服用しましょう。

東洋医学的な「こむら返り」の考え方

では、筋肉の引き攣りが何故起こるのか、東洋医学的視点からも考えてみましょう。

東洋医学では、「人の身体は気・血・水のバランスで成り立ち、それが崩れると病が現れる。」と考えられています。そして、そのバランスは常に流動しており様々な要因が影響します。

気血水のバランス

そして、筋肉は主に血で動き(ここで言う血は実際の血液ではなく機能と考えてください。)血が不足すると、筋肉は潤滑に動かなくなり縮んだまま(引き攣り)になったりと誤作動を起こします。

もう少し付け加えると、血の役割は多岐にわたります。例えば「見る」「考える」「体を動かす」「全身の筋肉を潤す」などがありますが、血は使えば勿論消耗もします。なので、血が不足すると「見えにくくなる」だけでなく「考えがまとまらない」「思うように動けない」「筋肉が強張る」といった現象が起きます。「こむら返り」がよく起きる人は、これらの症状も思い当たるのではないでしょうか。

さて、何故「足が攣る」現象が起きるのか。
そもそも「足」は末端なので熱が届きにくいです。そしては上昇する性質が、は下に溜まる性質があります。人の体でいうと、足元は冷えやすく頭はのぼせやすいということです。血が上手く循環していれば良いのですが、何らかで不足した場合は冷えた足に血は更に届かなくなり、足の筋肉が引き攣りやすくなるのは当然といえるでしょう。
それから、日常においての原因の一つと思われることがあります。それは足元の保温に対して意外と無防備なことです。今年は猛暑が立秋以降も続きましたが、秋の冷たい空気が混ざっている状況でも短パン・素足サンダルの人たちを沢山見かけましたし、既に症状が出ている人も無防備な方の割合が多かったように思えます。

「冷えは万病のもと」と昔から言われているように、侮どらないでお過ごしください。

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こむら返りの応急処置

足が()った瞬間、ふくらはぎの筋収縮が起きているなら足のつま先は下を向いて固まっていると思います。

床に座って、なるべく膝を伸ばした状態で、下を向いた指(親指が多い)を手で掴み、ゆっくりとの(すね)の方向(上向き)に曲げていきます。曲げる方向は真っすぐでなくても大丈夫です。曲げると痛みが和らぐ方向があるので、何度か方向を変えて探りながら行ってください。※グイグイと勢いで曲げないように!

とにかく足指が下の向いた状態にならないように頑張ってすね方向に引っ張って、裏側のアキレス腱を伸ばすような感覚で行いましょう。

こうすると、それ以上の強いこむら返りを防ぐことが出来る為、早いタイミングで行うほうが良いです。

手で引っ張り曲げることが難しければ、タオルを引っかけて引っ張る、立膝をして足裏を床に押し付け体重を前にゆっくり掛けるなどの方法もあります。

もし足がった時に、つま先が上(すねの方)を向いていたら

それは、ふくらはぎの攣りではありません。

・その場合は、前述したふくらはぎの時とは逆方向に足指をゆっくり曲げてください。基本のやり方、注意点は同じです。

・手での操作が難しければ、足の甲を床に押し付けて脛側を伸ばすようにしてください。

ツボの押し方

指などで少しずつ筋の縮みを伸ばしてきたら、次はツボ押しです。

ふくらはぎのりのツボ(足指が下を向いている時)

ふくらはぎ真ん中~アキレス腱上部にある【承山(しょうざん)】【承筋(しょうきん)】を1回約15秒、軽く押す程度で交互に繰り返します。(さす)るようにして押す手指を移動して。

筋肉のこわばりが少しずつ緩んできたら、それに合わせて更にふくらはぎを伸ばすようにしてください。

承筋承山 ツボ

承筋(しょうきん):膝裏の中央(膝曲げたら横に線が入る真ん中)から下に真っすぐ下りていき、ふくらはぎの最も盛り上がっているところで、左右の筋肉の溝に取る。膝裏中央から下方5寸。

承山(しょうざん):承筋より更に踵に向かい下り、ふくらはぎの左右の筋肉が分かれたところの溝に取る。
アキレス腱を踵からふくらはぎに向かってなぞり、指が止まったところ。
膝裏中央から下方8寸。

すねの前~外側のりのツボ(足指が上を向いている時)

(すね)の骨の外側にある【(あし)三里(さんり)】【(よう)(りょう)(せん)】付近を軽く押してみてください。

押してみて、痛みや違和感が和らぐようなら、同じように1回約15秒を交互に繰り返し優しく押してください。

足三里 ツボ

足三里(あしさんり):

膝の外側のくぼみに指4本を置いた先の隆起した脛(すね)のすぐ脇(きわ)に取る。

陽陵泉(ようりょうせん):

膝を立てて、膝下外側の出っ張っている骨の際のくぼみに取る。

予防しましょう

日頃から、

  • 冷やさないこと
  • 十分な水分栄養補給(特にマグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの電解質不足に注意すること)
  • 適度な腰下肢筋のストレッチ

これらは日常的に心掛けていきたいところですが、それでも「こむら返りしやすい」時はあります。

そこで、ツボを使って持続的な予防対策をしていきましょう。

使うツボは【飛陽ひよう】と【跗陽ふよう】です。これは「ふくらはぎ」「すねの前・外側」どちらの()りにも使えます。

飛陽跗陽 ツボ

飛陽(ひよう):
外くるぶしの最も高いところとアキレス腱の間のくぼみ(崑崙こんろん)を見つけ、そこから上方7寸。アキレス腱の外縁をなぞって上がり、ふくらはぎの外側の筋肉の間のくぼみに取る。

跗陽(ふよう):
飛陽穴の手前で、(崑崙穴)の上方3寸。アキレス腱の前に取る。

このツボは当院でも、アフターケアとして良く使っています。

「こむら返り」で来院された方の殆どに、この箇所の反応点が出ていて、最後に置き鍼をすると施術後の効果が貼らない時よりも長持ちする傾向があります。また、施術なしで貼っても、こむら返りの回数が減少し、発症しても症状が軽いなどの変化があるようです。

自分で行う場合は、

ご自身に合った方法でお試し下さい。

おまけ

余談ですが、こんなに強烈な痛みを伴うこむら返りの「こむら」ってなんだか柔らかい響きだと思いませんか?

調べてみると、「(こむら)」とは「ふくらはぎ」のことで、平安時代頃には「こむら」、「こぶら」とも呼んでいたそうです。関西方面では「こぶら返り」というところもあるみたいです。

「こむら」の語源は筋肉の隆起が(こぶ)のようだとか、他にも所説あります。

なるほど、「こむら返り」=「ふくらはぎが、ひっくり返されたように痛い」、ぴったりな表現ですね。

平安時代特有の柔らかい言語だったとは・・・皆さんは知っていましたか?

平安時代の女性